股関節
日本においては、変形性股関節症は、膝や腰椎の変形に比べると、有病率は低いです。
われわれの一般住民での調査によると、高齢者において、比較的重度な変形が、膝(knee)では20%、腰(Lumbar)では40%いるのに対し、股関節(Hip)ではわずか数%です。
(下図の濃い色が比較的重度の変形、薄い色が軽度から中等度の変形の割合です)
しかし、例えば膝ではヒアルロン酸注射など多くの治療がありますが、股関節に対する保存的治療はあまり多くなく(もちろん、消炎鎮痛剤やオピオイドなどは有効ですが)、手術になる例も少なくないです。
日本人では、変形性股関節症の多くの原因が、臼蓋形成不全という状態にあるといわれてます。
これは、骨頭に対し、屋根(臼蓋)のかぶりが浅い状態を指します。
我々の調査では、日本人の屋根のかぶりの平均は30度ほどですが、10度以下になると、痛みが出る率が増加してきます。
ちなみに、下の図では臼蓋形成不全のほうは、屋根の被りは5度未満です。
日本では、手術になる人の8割程度が、臼蓋形成不全が原因と言われています。
ちなみに、海外では臼蓋形成不全による変形性股関節症は、日本人ほど高くないといわれており、人種間差があることが知られています。
手術は人工股関節全置換術というものを行うのが、一般的ですが、その適応については、また次回に。