骨粗鬆症
前回、骨粗鬆症の薬で、ビスフォスフォネートが良く使われるとのお話を書きました。
骨密度を上げてくれる非常に良いお薬ですが、もちろん副作用もゼロではありません。
前回書いた食道炎もそうですが、これは気を付けて使えばそれほど心配ないと思います。
よく話題になっているのが、抜歯の時に注意しましょうというやつです。
お聞きになったことがある方もいらっしゃると思います。
歯を抜いた後に、そこがうまく治らず、トラブルになることがある(顎骨壊死といいます)ということなのですが、実は議論の分かれるところです。
以前に、ビスフォスフォネートを飲んでいる方で、抜歯後、顎骨壊死になり、ビスフォスフォネートの副作用として話題に上がったのですが、アメリカなどでは、実はよく調べてみると、顎骨壊死になる確率は極めて小さく、薬を中止したために骨折のリスクが上がるほうがよほど問題だというふうに言われています。
日本でも、骨粗鬆症を治療する立場から言うと、同じように思わなくもないのですが、歯科の先生のお立場からすれば、確率はゼロではない以上、やはり抜歯時は中止してくださいということになってしまうのも、理解できるところです(実際には、このようば場合にどうすべきか、どのような方は継続しても大丈夫で、どのような方は中止するか、というような論文も出ていますので、興味のある方はお読みください)。
ですので、外来では、歯科の先生が中止してくださいということであれば、中止するようにお話ししてます(歯の治療も大事ですので)。
その場合、骨粗鬆症の薬はビスフォスフォネートだけではありませんので、顎骨壊死の副作用の報告のないお薬に変えるようにしています(ただし、基本的には、歯の治療をすみやかにしていただき、ビスフォスフォネートを可及的早期に再開したほうが良いと思います)。
次回は、ビスフォスフォネート以外のお薬について、書きたいと思います。