サルコペニア(筋肉減弱)
サルコペニア(筋肉減弱)の診断の方法は、実は最近になって決まったばかりです。
サルコペニアという言葉自体は、結構以前からあるのですが、あまり注目を浴びてきませんでした。
ところが、骨粗鬆症や変形性関節症の治療が進む中で、これらの治療だけでは不十分であり、実は筋肉が非常に大事であることが明らかになり、注目を集めるようになりました。
そこで、診断アルゴリズムが、まずヨーロッパで作成されましたが、それが2010年です。
ほんの最近のことなのです。
それまでは、サルコペニアの診断は筋量が若い人の2SD(標準偏差)以下というのが一般的でした。
しかし、筋量はあまり運動機能や痛み、年齢との相関があまり高くないということがわかりました。
実際、われわれの調査でも、特に腕の筋量は年齢重ねても、あまり低下しません。
でも、握力は低下します。
すなわち、筋量と筋力にはギャップがあるわけです。
そこで、ヨーロッパの診断アルゴリズムでは、筋力や運動機能をその中に加味しています(下図)。
ただし、歩行速度は0.8m/sと定義されていますが、ほかのものはここには定義されていません。
例えば、ヨーロッパでは、男性30kg、女性20kg以下を低いと定義するようですが、アジア人には少しそぐわない値です。
そこで、アジアのワーキンググループが2014年にアジア人向けの診断アルゴリズムを発表しましたが、その話は次回に。