サルコペニア(筋肉減弱)
これまで、サルコペニアやロコモティブシンドローム(ロコモ)について、お書きしてきましたが、そもそもサルコペニアやロコモはどう違うのでしょう?
サルコペニアについては、以前も書いたとおり、言葉自体は以前よりあります。
サルコペニアですが、1989年に、Irwin Rosenbergが、加齢に伴う筋肉の衰えを疾患概念として扱うように提唱し、サルコペニアと名付けたのが最初といわれています。
一方、ロコモは、2007年、日本整形外科学会が、ロコモという概念を提唱しました。
ですので、これは日本独自の考え方です。
超高齢社会をむかることにより、筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態により、日常生活にも支障が生じてくることが重大な問題であると考え、ロコモの概念が提唱されました。
サルコペニアとロコモでは、多くの共通点がみられます。
例えば、方法は違いますが、ロコモでもサルコペニアでも、歩行能力や筋力の評価を行ってます。
歩行能力は、ロコモでは2ステップテスト、サルコペニアでは歩行速度を用いてます。
筋力の評価は、ロコモでは立ち上がりテスト、サルコペニアでは握力で行っています。
その他の評価法として、ロコモではロコモ25による問診調査を行うのに対し、サルコペニアでは筋肉量測定を行う点は大きく異なりますが、サルコペニアもロコモも主要なアウトカムは移動能力の低下と考えられ、その点では共通してます。
サルコペニアもロコモも近年になって注目をされている病態でありますので、その関係性についてはこれからの議論が待たれるところなのですが、ロコモの原因が運動器全体であるのに対し、サルコペニアは筋肉に限定された病態であることを考えると、ロコモの主要な原因の一つとして、サルコペニアがあると考えるのが自然かと思われます。