サルコペニア(筋肉減弱)
前回、筋肉には、筋力と筋量の2つがあり、かなり異なる側面があるとお書きしましたが、ではどちらがより良い指標なのでしょうか?
我々の調査によると、変形性膝関節症やひざ痛とより関連があるのは、筋力です。筋量はあまり関連がありません。
下図を見ていただくと、変形性膝関節症のある方とない方で、筋力に大きな違いがあります。
しかし、筋量には差がありません。
ただし、要介護という状態になると、筋量も低下してきます。
要介護というのは、かなり移動能力が低下した状態です。
すなわち、まず筋力が低下して、ひざ痛が増悪し、さらに筋量が低下すると、要介護という、不可逆的な状態になることが推察されます。
したがって、筋量が年齢を重ねてもあまり低下しないことを考えても、早期に運動器の低下をとらえるのであれば、筋力のほうが鋭敏ということになります。
ですので、以前も書きましたが、サルコペニアの診断アルゴリズムにも、筋量だけでなく、筋力も含まれているのです。
では、そもそも、筋力と筋量にはなぜこんなに違いがあるのでしょう?
次回は、そんな話を書きたいと思います。